ステンレスの選び方その2
2021.12.08
前回のコラムで、ステンレスを選ぶ際に大事な「3つのポイント」をお伝えしました。
- 性質
- 仕様
- 入手性
今回のコラムでは、「性質」について少し掘り下げてお話します。
さて、まずステンレスの性質で分かりやすいのが『機械的性質』と『物理的性質』です。
■機械的性質・・・外部から加わる力に対してどれくらい強いか、耐えられるか
■物理的性質・・・外部から加わる熱や電気にどれくらい影響を受けるか
※機械的性質、物理的性質については以前のコラムもご参照ください
http://www.taika.co.jp/column/column019.html
これらの機械的性質・物理的性質は数値であらわすことができ、鋼種(ステンレスの種類)によって異なります。
分かりやすい例をご紹介します。
■硬さ
もっとも一般的なステンレスであるSUS304、SUS430ではHV≦200ですが、NSSC2120やNSS431DP-2といった鋼種では300を超える値を示します。
基本的には硬さが増すとキズがつきにくくなりますが、いっぽうで加工はしにくくなるといえます。
■線膨張係数
もっとも一般的なステンレスであるSUS304、SUS430であっても違いがあります。
熱をかけて使用される場合も多いのでこの数値の把握はもちろん大事ですが、ある物質と組み合わせて使用する場合には、相手物質の膨張の値との比較や影響を考慮することも重要になりますね。
さて、じつはステンレスの性質にはこのように数値であらわすことができる性質の他に、数値ではあらわしにくい性質もあります。
特徴と言ったほうが分かりやすいかもしれません。
例えばこういったものです。
- 研磨しやすい、しにくい
- (形状が)崩れやすい、崩れにくい
- 表面欠陥が出やすい、出にくい
など…
これらの特徴は、そのステンレスの主要元素や金属組織などが影響するのですが、数値であらわすことが難しいため事前に把握するのは難しい面があります。
いっぽうで、お客様が抱えておられる問題や課題はこの、数値に表すことが難しい特徴が起因している場合も多くそこを改善することで解決の糸口が見えることも多々あります。
(ですので、ぜひステンレスコンサルティングにご相談ください)
いかがだったでしょうか。
今回のステンレスコラム「ステンレスの選び方その2」。
- ステンレスの性質には、数値であらわせるものとあらわしにくいものがある
- 数値であらわしにくい性質(特徴)に着目すると、問題や課題を解決できるかも
というお話でした。
次回のコラムは、ステンレスを選ぶ際に大事な「3つのポイント」のうち「仕様」について、少し掘り下げてお伝えします。
ぜひお楽しみに。